手足口病とヘルパンギーナ
夏になると、主に小さな子供の間で流行する感染症として手足口病とヘルパンギーナがあります。
どちらも子供に多く見られる病気で、保育園や幼稚園で集団感染が発生することも珍しくありません。
この記事では、これらの病気の違いや特徴、症状、治療法、予防方法についてお話しします。
手足口病とは?
手足口病は、コクサッキーウイルスやエンテロウイルスといったエンテロウイルス属が原因となるウイルス感染症です。
名前の通り、手や足、口の中に水疱や発疹ができるのが特徴です。
主な症状
✔ 発疹
・・・手のひら、足の裏、口の中に小さな水疱や赤い発疹が現れます。
一部の子供では肘や膝、お尻にも発疹が出ることがあります。
✔ 口内の痛み
・・・口の中にできた水疱が破れて痛みを伴うことがあります。
このため、食欲が低下する子供もいます。
✔ 軽い発熱
・・・38℃前後の微熱が出ることが多いですが、高熱になることはまれです。
感染経路
✔ 飛沫感染
・・・咳やくしゃみを介して感染します。
✔ 接触感染
・・・ウイルスが付着した手や物を介して感染します。
✔ 便を介した感染
・・・感染者の便に含まれるウイルスが原因になることもあります。
通常は軽症で自然に治る病気ですが、まれに髄膜炎や脳炎といった合併症を引き起こすことがあります。
特に高熱が続いたり、けいれんが見られる場合は、すぐに医療機関を受診しましょう。
ヘルパンギーナとは?
ヘルパンギーナは、コクサッキーウイルスA群が中心のエンテロウイルス属によるウイルス感染症で、特に夏に流行します。
喉の奥に特徴的な水疱ができ、発熱を伴うのが主な症状です。
主な症状
✔ 高熱
・・・突然38~40℃の高熱が出るのが特徴です。
熱は通常1~3日続きます。
✔ 喉の痛み
・・・口の奥や喉に水疱や潰瘍ができ、痛みを伴います。
このため、飲み物や食べ物を嫌がる子供が多いです。
✔ 全身症状
・・・倦怠感や食欲不振を伴うことがあります。
感染経路
ヘルパンギーナの感染経路は手足口病と似ています。
✔ 飛沫感染
✔ 接触感染
✔ 便を介した感染
まれに脳炎や心筋炎などを引き起こすことがあります。
高熱が長引いたり、脱水症状が強い場合は医師の診察を受けましょう。
手足口病とヘルパンギーナ
これらの病気はどちらもエンテロウイルスが原因ですが、次のような違いがあります。
症状の違い
手足口病 | ヘルパンギーナ | |
主な症状 | 手・足・口に発疹や水疱 | 喉の奥に水疱や潰瘍 |
発熱 | 微熱が多い | 軽い高熱が特徴 | 突然の
感染が多い時期 | 夏〜秋 | 夏 |
食欲への影響 | 口内の痛みにより食欲が低下することがある | 喉の痛みで食べ物や飲み物を嫌がる |
手足口病とヘルパンギーナの違いは発疹の部位と発熱の特徴です。
治療法
手足口病もヘルパンギーナも、特効薬や特定の治療法はありません。
症状を和らげるためのケアが重要です。
ウイルス感染だから特効薬がないんだね。
対症療法
✔ 発熱や痛みへの対処
• 医師の指示のもと、必要に応じて解熱剤や鎮痛剤を使用します。
✔ 脱水の予防
• 喉や口が痛い場合でも、スプーンやストローを使い、水分を少しずつ摂取させましょう。
• 冷たいゼリーやアイスクリームなど、喉に優しい食べ物を試しましょう。
✔ 口内ケア
• 可能なら食後にうがいをして、口内を清潔に保ちます。
予防方法
これらの病気は感染力が非常に強いため、予防策を徹底することが重要です。
✔ 手洗いの徹底
• 石けんと流水で手をしっかり洗う習慣をつけましょう。
特にトイレの後や外出から帰った後は念入りに。
✔ 消毒の実施
• おもちゃや食器、ドアノブなど、子供がよく触れるものを定期的に消毒します。
✔ 飛沫感染の防止
• 咳やくしゃみをするときはティッシュや腕で口元を覆い、他の人に飛沫がかからないようにします。
✔ 感染者との接触を避ける
• 流行期や感染者がいる場合は、人混みや保育園での活動を控えることも検討しましょう。
まとめ
手足口病とヘルパンギーナは、通常は軽症で自然に治ることがほとんどですが、小さな子供や乳児では重症化するリスクがあります。
特に次のような症状が見られる場合は、すぐに医療機関を受診してください。
✔ 高熱が3日以上続く
✔ 脱水症状(口が乾く、尿が少ない、ぐったりしている)
✔ けいれんや異常な泣き声
また、これらの病気が改善した後もウイルスは便に数週間排出されることがあります。
感染の拡大を防ぐためにも、トイレ後の手洗いなどの衛生管理を徹底しましょう。