咳ぜんそくのお話

暖かくなって桜が咲きはじめ、心浮き立つ春ですね!

しかし、気になるのは、スギやヒノキ花粉、黄砂、pm2.5・・・

これらの影響で春をはじめとする季節の変わり目「咳ぜんそく」が起こりやすい時期です。

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毎年、今の時期には長引く咳の患者さんが増加します。

中には夜間に特に咳がひどくなり、充分な睡眠が取れない方もおられます。

もしもその咳症状が「咳ぜんそく」の場合、適したお薬を使うことで改善が期待できる例が多いです。

咳症状がしつこく続く時は、一度お近くの耳鼻咽喉科でご相談ください!

目次

咳ぜんそくが疑われる症状

しつこい咳はつらいですね。
こんな症状に心当たりはありませんか?

2週間以上、しつこい咳が続く

風邪が改善した後も咳が続く

春や秋など、花粉シーズンや季節の変わり目に咳が続く

夜から朝にかけて咳がひどくなり、睡眠が取りにくい

寒冷刺激やタバコの煙の刺激で強く咳が出る

話したり笑ったりすると咳が出る

息をした時にヒューヒューゼイゼイと音がするわけではないし、呼吸困難が起こるわけではない

子供の時に喘息傾向だった経験がある

咳ぜんそくの診断

診察時に患者さんから上記のようなお話を聞くと「咳ぜんそく」を疑います。

「咳ぜんそく」はただの咳ではなく、気道でアレルギー反応が起こることにより発症します。

気道でアレルギー反応が起こっているかどうかを検査で確認することで、医師の経験からの判断に頼らない、客観的な診断を行うことができます!

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気道でアレルギー反応(好酸球性炎症)が起こっていると

肺で産生される一酸化窒素(NO)が増加します。

一酸化窒素量を計測するその検査は「呼気NO検査(FeNO)」とよばれるもので、

当院では以前から積極的に活用しています。

検査の結果、一定以上の一酸化窒素濃度を検出すれば「咳ぜんそく」と診断します。

10秒間、ゆっくりと一定の流量で息を吐く簡単な検査です。

結果は1分半程度でわかります。

ちょっとしたゲームのような(!?)検査です。

この検査は2013年から臨床の場で活用され始めた
比較的新しい検査法です。

咳ぜんそくの治療

「咳ぜんそく」は気道の過敏性が高まり気管支が狭くなっているために、少しの刺激でも咳が強く出ます。

症状から推測するだけの診察では、風邪との鑑別が難しい場合があります。

病院でも「咳が長引くタイプの風邪」と診断されて、普通の咳止めや抗菌剤等が投薬されることがよくあるのですが、「咳ぜんそく」だと、これらの薬では充分な効果を得ることができません。

菌の感染が原因ではない場合は抗菌薬は効きませんし、
「咳ぜんそく」の場合は対症療法薬の咳止めだけでは
効果が足りません・・・

「咳ぜんそく」はアレルギー性の気道の炎症ですから、診断がつき次第、

気管支ぜんそくと同様に、吸入ステロイド剤を使って気道の炎症を早く充分に抑える必要があります。

吸入ステロイド剤は咳が止まってもすぐには中止せずに、数ヶ月間は継続的に使用することが大切です。

治療が不充分だと再発を繰り返すことが多いのです。

そして、4〜5年も「咳ぜんそく」を繰り返していると
20%程度の方が「気管支ぜんそく」に進行すると
考えられています。

吸入ステロイド薬は気道の炎症を抑えるぜんそく治療の基本の薬です。

「ステロイド」と聞くと副作用をご心配される方もおられますが、内服や点滴で使用するストロイド薬と比較して、作用は極めて局所的と言え、安全で副作用はまず認めません。

局所的な作用ですので
過度なご心配はいりませんよ!

当院では呼気NO検査の結果を参考に「咳ぜんそく」の重症度を判定し、

吸入ステロイド薬を含めて患者さんごとの最適な治療薬を選択しています。

まとめ

咳が続くのはとても辛いですね。

夜中から明け方に咳が出るのは特に辛いでしょう。

「咳ぜんそく」と聞くと、呼吸困難発作がおこるような「気管支ぜんそく」を思い起こし、

「私がぜんそく!?」と驚かれる患者さんもおられますが、

「咳ぜんそく」の多くは一時的なものです。

きちんと検査をした上で「咳ぜんそく」と診断されても過度な心配の必要はありません。

病態に合ったお薬を使って、早めに、そして適切に治療しましょう!

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