EBウイルス感染症(伝染性単核球症)とは?症状・検査・治療と注意点を医師が解説|京都市中京区・御所南・丸太町駅 なかい耳鼻咽喉科

はーちゃん

先生、大学生のお兄ちゃんが39℃の熱と、すごいのどの痛みで、首も腫れてるんだ。
もう1週間以上続いてて、風邪にしては長すぎるよね…?

なかい先生

10代後半〜20代で、高熱+強いのどの痛み+首のリンパ節の腫れが長く続く…それは『EBウイルス感染症(伝染性単核球症)』かもしれないね。
耳鼻咽喉科でときどき出会う病気で、ふつうの風邪とは経過がちがうんだ。くわしく話すね。

EBウイルス感染症(伝染性単核球症)は、日本では3歳ごろまでに60〜70%、大人になるまでに90%〜ほぼ100%の人が感染するといわれる、とてもありふれた病気です。小さいころにかかるとほとんど症状が出ませんが、思春期以降に初めて感染すると、高熱・強いのどの痛み・リンパ節の腫れが2〜3週間以上続く「伝染性単核球症」を起こすことがあります。
この記事では、京都市中京区・御所南のなかい耳鼻咽喉科が、EBウイルス感染症の症状、検査、治療、注意点(抗菌薬による発疹・運動制限)を解説します。

目次

EBウイルス感染症とは

はーちゃん

EBウイルスって、どんなウイルス?

なかい先生

エプスタイン・バール(EB)ウイルスという、ヘルペスウイルスの仲間で、リンパ球に感染するんだ。
主に唾液を通してうつるから、海外では“キス病”なんて呼ばれているよ。
一度感染すると体の中にずっと残るけど、免疫がつくので再発はほとんどないんだ。

EBウイルス感染症の基本
✔ 感染経路:唾液(回し飲み・食器の共用・キスなど)。感染力は弱く、厳格な隔離は不要です
✔ 潜伏期間:4〜8週間と長め
✔ 年齢による違い:乳幼児の初感染はほとんど無症状か軽い風邪程度。思春期以降の初感染で「伝染性単核球症」を起こしやすい
✔ 当院での傾向:20歳前後の患者さんが多いですが、最近は30代で初めて感染する方も経験するようになりました。新生活が始まる春に増える傾向があります

伝染性単核球症の症状

はーちゃん

ふつうの風邪やのど風邪と、どこが違うの?

なかい先生

ポイントは「強い」と「長い」。
39℃以上の高熱、のどの強い痛み、首のリンパ節の腫れ、極度のだるさが2〜3週間以上続くんだ。
診察でのどを見ると、扁桃腺が真っ赤に腫れて、白苔(白い膿のようなもの)がたくさんついているのが特徴だよ。

主な症状
✔ 39℃以上の高熱が1〜2週間続く
✔ 強いのどの痛み、扁桃腺の腫れと白苔。食事や水分がとりにくい
✔ 首のリンパ節の腫れ(両側・後ろ側にも)
✔ 極度の疲労感・だるさ(回復後も数週間続くことがあります)
✔ まぶたの腫れ、発疹、関節痛を伴うことも
✔ 肝臓・脾臓(ひぞう)の腫れ、肝機能障害

こんなときは早めに受診を

✔ 39℃を超える高熱が数日以上続く
✔ 首のリンパ節の腫れを伴う強いのどの痛み
✔ 扁桃腺に白い膿(白苔)がついている
✔ のどの痛みで水分がとれない、ぐったりしている
✔ 息苦しい・いびきが急にひどくなった(扁桃腺の腫れで気道が狭くなっている可能性)
✔ 皮膚や白目が黄色い、左のお腹の上のほうが痛い

検査|血液検査で診断します

はーちゃん

EBウイルスかどうかは、どうやって調べるの?

なかい先生

インフルエンザのような迅速検査はなくて、血液検査で診断するんだ。
EBウイルスに対する抗体や、特徴的な“異型リンパ球”を調べるよ。
同時に肝臓の数値(AST・ALT)も調べて、肝機能障害が起きていないかを確認しているんだ。

当院での検査
✔ のどの診察:扁桃腺の腫れ・白苔の有無を確認
✔ 溶連菌の迅速検査:症状がよく似た「溶連菌感染症」との区別のために行うことがあります
✔ 血液検査:EBウイルスの抗体(VCA-IgM・IgGなど)、白血球の分画(異型リンパ球)、肝機能(AST・ALT)

治療|特効薬はなく、休養と対症療法

はーちゃん

お兄ちゃん、のどが痛くて水も飲めないって…。治す薬はないの?

なかい先生

ウイルスをやっつける特効薬はないけれど、基本的には予後の良い病気だから安心してね。
安静にして、症状に合わせたお薬を使いながら回復を待つんだ。
高熱と強いのどの痛みで脱水気味になっている人が多いから、当院では必要に応じて点滴で水分やお薬を補える体制をとっているよ。

治療のポイント
✔ 安静・休養:回復まで2〜3週間、だるさはさらに続くことがあります。無理をしないこと
✔ 対症療法:解熱鎮痛薬、のどの痛みをやわらげる薬
✔ 点滴:水分がとれないとき
✔ 扁桃腺の腫れが強く、息苦しさや飲み込みの困難がある場合は、ステロイド薬を短期間使うことがあります
✔ 肝機能障害・脾臓の腫れが強いときは、連携する病院へご紹介します

【重要】EBウイルス感染症で気をつけたい2つのこと

はーちゃん

のどが腫れてるなら、抗生物質を飲めばいいんじゃないの?

なかい先生

それが落とし穴なんだ。
EBウイルス感染症のときにペニシリン系の抗菌薬(アモキシシリンなど)を飲むと、全身に発疹が出ることが多い。
溶連菌などの“のどの細菌感染”と見た目が似ているから、きちんと見分けて、必要のない抗菌薬は使わないことが大事なんだよ。

なかい先生

もうひとつは運動。
この病気では脾臓(ひぞう)が腫れることがあって、お腹に衝撃を受けると破れる危険があるんだ。
だから発症から少なくとも3〜4週間は、サッカーやラグビーなどの接触するスポーツ、激しい運動は避けてね。

EBウイルス感染症と診断されたら

✔ 自己判断で抗菌薬を飲まない(発疹の原因に)。以前もらった薬が残っていても飲まないでください
✔ 接触スポーツ・激しい運動は3〜4週間以上お休み(脾臓の破裂を防ぐため)。再開の時期は診察で確認を
✔ 水分をしっかり。飲めないときは点滴を
✔ 回し飲み・食器の共用を避ける(唾液でうつります)
✔ だるさが長引いても、焦らず休養を

慢性活動性EBウイルス感染症について

ごくまれに、EBウイルスが異常に増え続け、発熱・肝臓や脾臓の腫れ・リンパ節の腫れ・肝機能障害が3か月以上にわたって続いたりくり返したりする「慢性活動性EBウイルス感染症」という特殊な病態があります。
肝臓・心臓・肺・骨髄などに合併症を起こしたり、悪性リンパ腫を合併したりして、予後の悪い経過をたどることがあり、専門的な治療が必要です。
通常の伝染性単核球症とは異なる病気ですが、症状が3か月以上続く・くり返す場合は必ずご相談ください。

よくある質問(Q&A)

はーちゃん

ほかにも、よく聞かれることってある?

なかい先生

あるよ。まとめて答えるね。

学校や仕事はいつから行けますか?

EBウイルス感染症に決まった出席停止期間はなく、感染力も弱いため、熱が下がり体力が戻れば登校・出勤できます。
ただし、だるさが数週間続くことがあるので、無理のない範囲で。体育や部活動の再開(とくに接触スポーツ)は、診察で確認してください。

溶連菌との違いは何ですか?

どちらも高熱と強いのどの痛み・扁桃腺の白苔が出て、見た目はよく似ています。
溶連菌は細菌なので抗菌薬で数日で良くなりますが、EBウイルスは抗菌薬が効かず、2〜3週間続きます。
溶連菌の迅速検査と血液検査で区別します。両方に同時にかかることもあります。

家族にうつりますか?

唾液でうつりますが、感染力は弱く、大人の家族のほとんどはすでに抗体を持っています。
回し飲み・食器や歯ブラシの共用を避ければ、特別な隔離は不要です。小さなお子さんがかかっても、ほとんど無症状か軽い風邪程度ですみます。

治ったあとも、だるさが続きます。

熱が下がったあとも、疲労感が数週間〜1〜2か月続くことは珍しくありません。
十分な睡眠と休養をとり、少しずつ活動を戻していきましょう。3か月以上続く・発熱をくり返す場合は、再度ご相談ください。

予防接種はありますか?

EBウイルスのワクチンはありません。
体調管理のほかに確実な予防法はありませんが、回し飲み・食器の共用を避けることが感染の機会を減らします。

まとめ

なかい先生

EBウイルス感染症は、10代後半〜20代に多い、“強くて長い”のど風邪のような病気。
特効薬はないけれど、基本的には予後の良い病気だよ。
気をつけるのは「むやみに抗菌薬を飲まない」「3〜4週間は激しい運動を避ける」の2つ。
首のリンパ節の腫れを伴う強いのどの痛み・39℃を超える高熱・扁桃腺の白苔があるときは、すぐに受診してね。

・ヘルペスウイルスの仲間。唾液でうつり、大人のほとんどが感染済み。思春期以降の初感染で伝染性単核球症に
・39℃以上の高熱・強いのどの痛み・首のリンパ節の腫れ・極度のだるさが2〜3週間以上。扁桃腺に白苔
・診断は血液検査(抗体・異型リンパ球・肝機能AST/ALT)。溶連菌との区別も
・治療は安静と対症療法。脱水時は点滴で水分・薬を補える体制あり
・ペニシリン系抗菌薬で発疹が出やすい/脾臓の腫れのため3〜4週間は接触スポーツ禁止
・春に増える傾向。症状が3か月以上続くときは慢性活動性EBウイルス感染症の可能性も

京都市中京区・御所南 丸太町駅で高熱・のどの痛み・首の腫れのご相談は

なかい耳鼻咽喉科(京都市中京区・御所南/地下鉄烏丸線「丸太町駅」近く)では、のどの診察・迅速検査・血液検査で、EBウイルス感染症・溶連菌感染症などの診断と治療を行っています。
水分がとれないときの点滴にも対応していますので、「風邪にしては症状が強い・長い」と感じたらご相談ください。



電話:075-241-3387

監修:なかい耳鼻咽喉科 院長 中井 茂(なかい しげる)
医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医/日本気管食道科学会 専門医/補聴器適合判定医師

参考文献:
・国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)伝染性単核球症の情報
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け情報
・厚生労働省「抗微生物薬適正使用の手引き」

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