補聴器外来について

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難聴と認知症

「難聴は認知症の重大な原因」
そんな学説が2017年に開催された国際アルツハイマー病会議の場で発表されました。

ちょっとショッキングな話ですね・・。

現在では認知症患者の約9パーセントが、難聴が原因で発症したものと推測されています。

これは新しい知見ですので医療関係者の中でも知る人はまだ少ないのが現状ですが、この事実が早く社会に周知され、難聴への対策が進むことが望まれます。

難聴を放置せず対応するなら大きな選択肢となるのが補聴器ですが、日本の難聴者の補聴器普及率は欧米に比べはるかに低い水準にとどまっています。

欧米では補聴器の使用は意識の高さを象徴するステイタスとしてとらえられています。

聞こえにお困りのみなさんもネガティブなイメージを持たず、一度試してみてはどうでしょうか。

補聴器を試すなら

補聴器の購入を考える際にぜひお伝えしたいのは「まず病院で受診。そのうえで紹介された店で購入する」ということです。

補聴器は薬事法が定める管理医療機器です。

大変有効な医療機器ですが、難聴患者さんの耳の状態を正しく評価しないと効果がでないばかりか悪影響が出る可能性もあります。

また、補聴器は着ければすぐに自分仕様になるわけではありません。

利用者の状態をよく知る医師の指導のもとに、言語聴覚士や認定補聴器技能者によるきめ細かな調整を経て、初めてその人にぴったりフィットする補聴器が完成します。

せっかく購入したのに雑音がうるさい、よく聞こえない、結局使わなくなってしまった・・・という方も少なくないので注意が必要です。

そうなってしまっては残念ですね。

当院の補聴器外来

当院では「補聴器外来」を設けています。

補聴器を試してみたい患者さんや、購入した補聴器を維持調整する目的の患者さんが来院されます。

では補聴器外来の流れをご紹介します。

①一般診療

まずは診察と聞こえの検査によって補聴器が必要かどうかをご相談します。

②補聴器外来の予約

補聴器の試用のご希望がある場合は補聴器外来の予約をお取りします。

③補聴器外来1回目

いよいよ補聴器を試してみましょう。

調整した後はその補聴器を貸し出します。

  1. 補聴器の調整と音の確認をします。
  2. 補聴器をつけて聞こえの確認をします。
  3. 次に言葉の聞き取りの確認をします。
  4. 医師の診察でお話しします。
  5. いよいよ補聴器の貸出です。

④補聴器外来2回目以降〜

2週間ほどご自宅で補聴器をお使いいただいた後、再度ご来院いただきます。

使い心地を相談しながら補聴器が耳に合うように調整します。

おおよそ3ヶ月をかけて快適な使い心地に落ち着くように少しずつ調整を行います。

調整を重ねるうちに次第に快適になっていきますよ!

⑤補聴器の購入 または 見合わせ

補聴器にご満足されてご納得いただいた場合のみ、ご購入をお考えください。

「試すと購入しなければいけないような流れになるのでは?」というご心配は不要です。

もし気に入って購入された場合は、補聴器の効果を維持するため、長く快適に使用していただくために、定期的に聞こえの状態を確認し調整させていただきます。

補聴器適合判定医師

耳鼻咽喉科の中には補聴器のスペシャリストである、厚生労働省「補聴器適合判定医師」の資格を取得した医師がいます。

僕も「補聴器相談医」とともに「補聴器適合判定医師」の資格を持っていますのでご安心ください。

補聴器適合判定医とは、厚生労働省の指定する補聴器適合判定医講習会を修了した耳鼻咽喉科医のことです。

補聴器適合判定医は補聴器相談医の上位互換とされています。

このことから当院は補聴器適合検査の施設基準を充分に満たしております。

補聴器を試される際は、その効果を最大に発揮し心地よく使い続けるためにも、ぜひお近くの耳鼻咽喉科医に御相談されることをおすすめします。

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