インフルエンザのお話

インフルエンザは、毎年冬に流行する感染症で、特に小さなお子さんや高齢者のご家庭では注意が必要です。
この感染症は時に重症化することもあり、適切な予防と早めの対応が大切です。

なかい先生

いよいよインフルエンザの流行期が近くなりました。
注意点や診断方法などについてお話します。

目次

インフルエンザの原因

インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされます。
このウイルスは、A型、B型、C型に分類され、A型とB型が主に流行の原因となります。

1. 飛沫感染:感染者の咳やくしゃみからウイルスを含んだ飛沫を吸い込むことで感染します。

2. 接触感染:ウイルスが付着した手で目や鼻、口を触ることで感染します。

はーちゃん

感染の経緯について、ウイルスはどれも同じだね。

インフルエンザは非常に感染力が強く、特に人が集まる場所(保育園、学校、公共交通機関など)で急速に広がります。

インフルエンザの診断方法(早く正確に診断するために)

抗原検査

✔ 抗原迅速検査

こちらは過去にインフルエンザ検査やコロナ検査の時に経験された方も多いのではないでしょうか。
鼻の奥を綿棒でコチョコチョして検体を採取し、迅速キットを使って検査します。
結果は15分ほどでわかります。

✔ 抗原検査(クイックチェイサー)

通常の抗原迅速検査でも、インフルエンザ抗原が検出されれば陽性と診断されますが、感染初期のまだウイルス数が少ない時期だと感染しているにも関わらず陰性となる可能性があります。
当院で採用しているクイックチェイサーの場合、発症当初の少ない抗原量にでも検出することが可能です。
受診時に発症時期や症状の強さなどを聞き取って検査方法を選びます。

なかい先生

そのため、当院では通常の簡易検査だけではなく、新しい迅速検査法であるデンシトメトリー分析装置(クイックチェイサーImmuno Reader)を用いています!

なかい先生

この装置では、検出感度を向上させ、少ない抗原量で、発症早期であっても検出することが可能です。
イムノクロマト法と写真現像技術を合わせた増幅反応により、検出感度を向上しています!

出典:株式会社ミズホメディーHPより
感染初期の少ない抗原でも検出することが可能なため初期治療開始のチャンスを逃しません
はーちゃん

インフルエンザの治療薬発症からできるだけ早く使うことが大切だから、早く診断がつくことはとても重要だね!

なかい先生

そうだね!
当院ではこの装置をその他の疾患の検出にも使っているから、それにおいても効果的な早期治療が可能だよ!

PCR検査

同じく鼻の入り口から検体を取りますが、こちらではインフルエンザRNAが検出されるかどうかを検査するため、非常に正確な検査が可能です。
院内の機器を使って13分ほどで結果が出ます。
乳幼児や高齢者、妊婦さんなどが保険適応となります。
これは今年から保険診療として認められた最新の診断方法です。

出典:abbott社HPより

通常の抗原検査では陽性が出ないような、発症直後の乳幼児、高齢者、妊婦さんに利用します。

インフルエンザの主な症状

インフルエンザの症状は、一般的な風邪と似ているところもありますが、突然の発熱や強い全身症状を伴うのが特徴です。
掛かったことがある人なら、あの急に襲ってくる独特の悪寒が記憶にあるのではないでしょうか。

高熱38~40℃の発熱が突然現れる

全身倦怠感だるさや疲労感が強い

筋肉痛・関節痛体が痛くなることがある

喉の痛み:のどの痛みや咳が現れる

鼻水・鼻づまり:風邪のような鼻症状

小さなお子さんでは、次のような症状が出ることもあります。

食欲不振

ぐったりして元気がない

熱性けいれん

インフルエンザは重症化すると、肺炎や脳炎、心筋炎などを引き起こすことがあります。
特に0歳~2歳の乳幼児や基礎疾患のある子供、高齢者では注意が必要です。

インフルエンザの治療法

インフルエンザの治療では、ウイルスの増殖を抑える抗インフルエンザ薬が使用されます。

抗インフルエンザ薬の種類

発症後48時間以内に服用することで、特に症状を軽減し回復を早める効果があります。
薬には以下のような種類があります。

タミフル(内服薬)

リレンザ(吸入薬)

イナビル(吸入薬、1回使用で完結)

ゾフルーザ(内服薬、1回服用で完結)

ラピアクタ(点滴薬、1回20分ほどの点滴で完結)

当院ではすべての薬剤に対応しております。
患者様の症状と状況に応じて相談しながら選択しています。

対症療法

✔ 発熱や痛みがつらい場合は、医師の指示のもと、解熱剤を使用することがあります。
また、症状に合わせて咳や鼻の症状を緩和するための薬が出されることもあります。

✔ 水分補給と安静
脱水を防ぐためにこまめに水分を摂り、体力を回復させるために十分な休養を取りましょう。

インフルエンザの予防方法

インフルエンザをはじめとするウイルス感染には予防が最も大切です。

1. ワクチン接種

インフルエンザワクチンは感染のリスクを下げるだけでなく、重症化を防ぐ効果があります。
特に、小さなお子さん高齢者妊婦の方は毎年の接種が推奨されています。

2. 手洗いと消毒

石けんと流水での手洗いが基本です。外出先から帰ったら、手洗いを徹底しましょう。

3. マスクの着用

流行期には、外出時や人混みに行く際にマスクを着用することで、飛沫感染を防げます。

4. 十分な睡眠と栄養

体調を整え、免疫力を高めることも大切です。
バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけましょう。

5. 早めの受診

インフルエンザが疑われる場合は早めに医療機関を受診しましょう。
早期の診断、適切な治療を受けることができます。

ワクチンについて(フルミストも対応しています)

インフルエンザワクチンは昨年まで注射タイプのみでした。
大人は1回、小児は2回の接種が必要で、その効果は約4〜5ヶ月程度です。

2024年のシーズンからは点鼻タイプ(鼻にスプレーするタイプ)のワクチンが認可され、当院でも多くの方が利用されました。
点鼻型のインフルエンザワクチン「フルミスト」は「痛くないから怖くない」というメリットのほか、1回のみで接種完了し、その予防効果は約1年間とされています。
現時点では、対象年齢は2歳から18歳です。

ワクチン接種は遅くとも流行開始の2〜3週間前までに終えることをおすすめします。

まとめ

インフルエンザは、高い感染力と重症化のリスクがある感染症です。
しかし、早めの予防と適切な対応をすることで、感染リスクを抑えることが出来ます。

予防したにも関わらず感染してしまった場合、もし以下のような状態になった時は、すぐに医療機関を受診してください。

呼吸が苦しそう

高熱が3日以上続く

水分をほとんど摂れない

意識が朦朧としている

✔ 登園・通学制限について

インフルエンザを発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまでは出席停止期間となっています。
(ただし、病状により医師において感染のおそれがないと認めたときは、この限りではありません)。

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