聞こえのお話
「聞こえ」についてお話ししましょう。
聞こえの問題が発生する原因は様々です。
今回は聞こえに関する病気について、大まかにご説明しましょう。
加齢による聞こえの変化(補聴器)
年齢とともに多かれ少なかれ聞こえの問題が現れるのは、人であればみんな同じです。
ただ、聞こえにくくなってくる時期と聞き取りにくさの程度には、大きな個人差があるのです。
現在の情報化社会の中での生活を考えますと、聴覚によるコミニュケーションもやはりとても大切なものですよね。
そればかりでなく、最近では難聴は認知症の大きなリスク因子と考えられています。
「良い聞き取り」には話し方の工夫や静かな環境などもとても大切ですが、それぞれの方の聞こえの状態に合わせて適切に調整された補聴器の装用も大変効果的です。
最近のデジタル補聴器は以前のものと比べて、性能だけでなくデザイン面でも随分と優れてきています。
お洒落なアクセサリーの様なものもあるんですよ。
欧米では、補聴器の使用は単なる加齢の証ではなく、ある程度の年齢になっても積極的に社会で活躍し続けているというステイタスの証なのはご存知でしたか?
要職に就く人物、例えば大統領などの様に絶対に聞き間違いがあってはいけない人物は40代から既に補聴器を着けていた例もありました。
当院では補聴器のご相談にも積極的にお応えしています。
聞こえに対して不安や不便を感じていらっしゃる方は是非一度ご相談下さい。
また、補聴器に関して「試したら結局買わなくちゃいけない流れになるのでは?」とご心配される方がおられますがそんなことはありません。
補聴器の適応があり、使ってみたい方には患者様に合わせた補聴器を貸し出します。
そして言語聴覚士と共に充分な時間をかけて調整を行います。
試したからといって必ず買う必要は全くありません。
お安いものではないですし、入れ歯やメガネと同じように慣れるのに少し時間も必要です。
ご自分専用に充分に調整された補聴器の使い心地に満足された場合のみ購入するのが賢明です。
もし購入された場合には、その後の調整も積極的に行っておりますのでご安心ください。
若年層の聞こえの問題
ところで聞こえの衰えは高齢の方だけの問題だと思われがちですが、最近では若い世代の難聴も問題視されています。
突然起こった難聴には発症からなるべく早い時期の治療が必要です。
発症直後の治療チャンスを逃してしまうと難聴が固定してしまうこともあるので注意しましょう。
ヘッドホン難聴
移動中にスマホで音楽を聞いたり動画を見たりするのはもう日常のことになりました。
大きな音で長時間音を聴き続けるのは耳にとって大きな負担となります。
時間を減らしたりボリュームを下げることが大切です。
ノイズキャンセリング機能を上手に使うことも有用でしょう。
低音障害型難聴
30~40歳代の働き盛りの年代の方に多く、ストレスなどの影響で低い音の聞こえが悪くなる病気です。
早期に適切な治療を行うと改善する場合が多いですが、その後も良くなったり悪くなったりを繰り返すことが多く見られます。
このような聞こえの障害は日頃の不自由さはあまり無い場合も多く、聞こえ方の違和感やこもり感、耳鳴りなどとしか感じないこともあるので注意しましょう。
突発性難聴
近年、芸能人が発症したとの報道も多く、みなさんにとっても聞き慣れた病名になってきたかもしれません。
突発性難聴は早期に治療を開始することが大変重要です。
ある日ある時、突然に耳が詰まったりこもったりして聞こえにくくなった時は突発性難聴が疑われます。
「おかしいな」と感じたらすぐに耳鼻咽喉科を受診して確認し、治療を開始しましょう。
騒音性難聴
ライブでスピーカーの近くにいた、工事現場で働いて大きな音を聞いた、などの経験のあとに聞こえに問題が起こることがあります。
ある特定の周波数の聞こえが悪くなるのが典型的で、本人には聞こえにくさは自覚しにくく、耳鳴りなどの症状として感じられることが多いです。
滲出性中耳炎による難聴
様々な要因で鼓膜の奥の中耳という空間に滲出液がたまり音が聞こえにくくなる状態を「滲出性中耳炎」といいます。
大人の場合、非常に稀ですが、鼻の奥にある上咽頭に発生した腫瘍が耳管の入り口を塞いで滲出性中耳炎の原因となることがありますので、長期に及ぶ場合は注意が必要です。
一方、小さなお子さんは身体の機能が未熟なため風邪をひいた後や鼻の調子が悪い時にはしばしば見られる症状ですので即座に大きなご心配をされる必要はありません。
耳鼻咽喉科では、例えば鼻症状での受診であっても必ず鼓膜の状態を確認しますので、たとえ自覚症状が無くても早期発見できますし、多くの場合は自然経過で消失します。
それ以外では集団生活の中で聞こえにくさを指摘されたり親御さんが呼びかけの反応の悪さをご心配されて受診に至ることが多いです。
よく見られる症状であるとは言え、定期的に観察が必要な場合もあります。
それは長期に渡って中耳に液が溜まっている状態や常に鼓膜が凹んでいる状態がさらなる次の問題につながることがあるためです。
鼓膜や浸出液の観察とともに、大人・子ども、いずれも状況に応じて聴力検査が必要です。
聴力検査
最近何だか聞こえ方がおかしい気がする、耳がいつもこもった感じがする、耳鳴りが治らない・・・このような症状をお感じの方には現時点の聞こえ方を調べる「聴力検査」がまずは必要です。
↑こちらが聴力検査に使用する機器です。
防音室でしっかりとデータを取り、詳しくご説明します。
防音室に一人で入るのが怖いお子さんも、お母さんと一緒に入室出来るので大丈夫ですよ!
まとめ
以上のように、「聞こえ」に問題が起こる要因はさまざまです。
中には効果的な治療のチャンスが発症初期に限られているため急ぎで治療を要するも病気もあります。
まずはためらわずに受診してください。
今後はそれぞれの病気に関して掘り下げた記事をupしていきたいと思っています。