女性に知ってもらいたい甲状腺の病気

みなさん、甲状腺という臓器をご存知ですか?

「甲状腺?・・・聞いたことはあるけれどどこにあるどんな臓器かは知らないな・・・」

そんな方が多いのではないでしょうか?

目次

甲状腺とは?

甲状腺は喉仏の少し下に位置する蝶のような形をした臓器で、甲状腺ホルモンを分泌する重要な働きを担っています。

このホルモンは身体の活動を活発にする働きを持ち、ヒトが健康に暮らしていくために大変重要です。

甲状腺ホルモンの異常による病気は、全身に様々な辛い症状が現れます。

しかしどこが悪いのか判らず 「いつも調子が悪い状態」になり、気のせいだとか怠け者だとか誤解して苦しんでいる人も少なくありません。

甲状腺の病気は特に女性、それも20代から50代の方にたいへん多くみられます。

その他の自己免疫疾患も一般的には女性に多い事が知られています。

甲状腺にみられる病気とは?

甲状腺ホルモンの分泌異常が関わる病気には

甲状腺ホルモンが多い時に現れるもの・・・「甲状腺機能亢進(こうしん)症」

甲状腺ホルモンが少ない時に現れるもの・・・「甲状腺機能低下症」

があります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、新陳代謝が過剰になる病気を「甲状腺機能亢進症」といいます。

代表的な病気として、甲状腺を刺激する自己抗体(自分の身体に対する抗体)ができることで甲状腺ホルモンが過剰につくられる「バセドウ病」があります。

バセドウ病は特殊なタンパク質(TSH受容体抗体)が甲状腺を直接刺激してしまうことによって発病します。

その結果、通常よりも甲状腺ホルモンの分泌が盛んになるため、血液中の甲状腺ホルモン値が高くなってしまいます。

TSH受容体抗体が身体のどこで、なぜ、できてしまうのかは解明されていません。

甲状腺機能低下症(橋本病)

橋本病

甲状腺からのホルモンの分泌が悪くなった状態を「甲状腺機能低下症」と呼び、症状としては、身体のだるさやむくみ、のどの腫れが現れることがあります。

われわれ耳鼻咽喉科医が診察の際にくびに触れるのはのどが腫れていないかを確かめるためです。

この状態を引き起こす甲状腺の病気はいくつかあります。

甲状腺機能低下症は「橋本病」が原因となることが多いのですが、血液検査で抗甲状腺抗体と抗サイログロブリン抗体を調べることで比較的容易に診断できます。

この病気は、甲状腺ホルモン薬を飲むことで身体のホルモン値を安定させることができます。

潜在性甲状腺機能低下症

この橋本病はご存知の方も多いかと思いますが、一方、「潜在性甲状腺機能低下症」はほとんどの方が聞き慣れない症状ではないでしょうか。

「潜在性甲状腺機能低下症」とは血液中の甲状腺ホルモン値は正常範囲内にあるにもかかわらず、甲状腺ホルモンの分泌を促す甲状腺刺激ホルモンの値が高値を示す状態です。

実際には甲状腺がホルモンを分泌する機能は低下しているにもかかわらず、甲状腺刺激ホルモンを多く分泌することで甲状腺の分泌機能を亢進させ、見かけ上だけ甲状腺ホルモン値を正常に保っている状態です。

これは軽度の異常のため治療の必要性は高くないのですが、甲状腺刺激ホルモンの値が非常に高い場合、妊娠を希望する女性甲状腺の肥大が明らかな場合には薬による甲状腺ホルモンの補充を考えます。

甲状腺ホルモンは妊娠の継続、胎児の発育に重要な役割を持ち不妊にもつながる恐れがあります。

身体の不調やむくみ、のどのはれ、不妊や流産の経験をお持ちの方は、一度甲状腺の検査を受けてみて下さい。

当院での診療内容

当院では血液検査と高性能なエコーを用いて、正確な診断ができるよう心がけています。

異常が見つかった場合は定期的に甲状腺ホルモン値を観察しつつ投薬量を調節し、健康維持をはかります。

定期観察には木曜日午前、少数完全予約制の「専門外来」で受診していただくことも可能です。

ご都合にあわせて御相談ください。

疲れやすい、汗をかきやすい、寒がり、イライラ、動悸、息切れ・・・など、更年期の症状や心の不調とも似ています。

気になる症状やくびの腫れ、健康診断時に指摘されたなど、ご心配がある方は耳鼻咽喉科を受診してみましょう。

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