RSウイルス感染症|症状・検査・重症化のサイン

はーちゃん

先生、保育園で『RSウイルスが流行っています』ってお知らせが来たよ。
赤ちゃんの弟がいるから、ママがすごく心配してるんだ…。

なかい先生

RSウイルスは、2歳までにほとんどの子がかかる、とてもありふれたウイルスなんだ。
多くは鼻風邪くらいですむけど、生後6か月くらいまでの赤ちゃんは重くなりやすい。
だから『重くなるサイン』を知っておくことが大切なんだよ。

RSウイルス感染症は、乳幼児に多い呼吸器の感染症です。
この記事では、京都市中京区・御所南のなかい耳鼻咽喉科が、RSウイルスの症状、重症化のサイン、検査と治療、家庭でのケア、そして最近広がっている予防(抗体製剤・ワクチン)について解説します。

目次

RSウイルス感染症とは?

はーちゃん

RSウイルスって、どんなウイルスなの?

なかい先生

鼻やのど、気管支に感染するウイルスで、感染力がとても強いんだ。
1歳までに50%以上、2歳までにほぼ100%が一度はかかるといわれているよ。
一度かかっても免疫が十分につかないから、何度もかかるのも特徴。くり返すうちに軽くなっていくんだ。

RSウイルス感染症の基本
✔ 感染経路:飛沫感染(咳・くしゃみ)と接触感染(ウイルスのついた手・おもちゃ)
✔ 潜伏期間:2〜8日(多くは4〜6日)
✔ 流行時期:以前は秋〜冬が中心でしたが、近年は夏〜秋に流行する年が増え、年によって変わります
✔ かかりやすい年齢:0〜2歳。年上のきょうだいや大人が園・職場からもらってきて、赤ちゃんにうつすケースが多くみられます

RSウイルス感染症の症状

はーちゃん

かかったら、どんな症状が出るの?

なかい先生

はじめは鼻水・咳・発熱で、ふつうの風邪と区別がつかないんだ。
年長のお子さんや大人は、そのまま軽い風邪で終わることが多いよ。
でも赤ちゃんでは、数日たってからゼーゼー・呼吸が苦しそうになることがある。これが『細気管支炎』『肺炎』のサインなんだ。

軽症(多くのお子さん・大人)重症化した場合(とくに乳児)
くしゃみ・鼻水
軽い咳
微熱〜発熱
激しい咳・ゼーゼー、ヒューヒュー(喘鳴)
呼吸が速い・苦しそう
おっぱい・ミルクが飲めない
顔色が悪い・唇が青紫色
(月齢の低い赤ちゃん)一時的に呼吸が止まる
なかい先生

とくに重くなりやすいのは、生後6か月未満の赤ちゃん、早産で生まれたお子さん、心臓や肺に病気のあるお子さん。
こういうお子さんは、軽い鼻風邪に見えても早めに受診してほしいんだ。

【重要】こんなときはすぐに受診を

はーちゃん

弟がゼーゼーし始めたら、どうすればいいの?

なかい先生

次のサインがあったら、様子を見ずに、すぐに受診してね。
夜間や休日なら、救急外来へ。

RSウイルス|すぐ受診が必要な「重くなるサイン」

✔ 呼吸が速い・苦しそう、ゼーゼー・ヒューヒューと音がする
✔ 息を吸うとき、肋骨の間やみぞおち・お腹がへこむ(陥没呼吸)
✔ 唇や指先が青っぽい/顔色が悪い・ぐったりしている
✔ 母乳・ミルク・水分がとれない、おしっこが少ない
✔ 赤ちゃんで一時的に呼吸が止まる(無呼吸)
✔ 高い熱が続く、ぐったりして反応が鈍い
※ 生後6か月未満・早産・心臓や肺の病気があるお子さんは、症状が軽くても早めに受診を

検査と治療|特効薬はなく「対症療法」が中心

はーちゃん

RSウイルスかどうかって、調べられるの?

なかい先生

鼻の奥を綿棒でぬぐう迅速検査で、15分ほどで調べられるよ(保険で検査できる対象には年齢などの決まりがあります)。
当院では、病名をできるだけはっきりさせるようにしているんだ。
病名がわかると、治るまでの見通しと“気をつけるポイント”がわかって、お家の人が安心できるからね。

RSウイルスそのものをやっつける特効薬はなく、治療は水分補給や呼吸の状態に応じた対応が中心です。
✔ 鼻水の吸引:赤ちゃんは鼻がつまるとミルクが飲めず、呼吸も苦しくなります。耳鼻科での鼻吸引はとても有効です
✔ お薬:薬が必要かどうかは、年齢や症状、ぜんそくなどの合併の有無をみて判断します。
✔ 解熱剤:熱でつらそうなとき、眠れないときに
✔ 入院治療:呼吸が苦しい・水分がとれないときは、酸素吸入や点滴のため入院が必要になります

なかい先生

RSウイルスのあとは急性中耳炎を合併しやすいのも大事なポイント。
当院では、鼻やのどだけでなく鼓膜まで必ず確認して、中耳炎が隠れていないかチェックしているよ。

家庭でのケアと感染予防

おうちでできること
✔ 水分をこまめに:一度にたくさん飲めなくても、少しずつ回数を増やして
✔ 鼻水をこまめに吸う:家庭用の鼻吸い器も有効。寝る前・授乳前がおすすめ
✔ 部屋の加湿:乾燥すると咳がひどくなります
✔ 起きている間は、保護者が見守りながら楽な姿勢で抱いてあげましょう。
赤ちゃんを寝かせるときは、硬めの平らな寝具にあおむけにし、枕などで上体を持ち上げないのが良いとされています。
✔ 呼吸の様子を観察:胸やお腹のへこみ、呼吸の速さ、顔色を見ておきましょう

家庭内で広げないために
✔ 手洗いの徹底(石けんと流水)、咳エチケット
✔ おもちゃ・ドアノブなど、よくさわるものの消毒
✔ 風邪症状のあるきょうだい・大人は、赤ちゃんとの接触をできるだけ減らす
✔ 流行期は、月齢の低い赤ちゃんを人混みに連れて行かない
✔ タオル・食器の共用を避ける

RSウイルスの予防|抗体製剤とワクチン

はーちゃん

RSウイルスって、予防接種はないの?

なかい先生

ここ数年で、予防の選択肢がぐんと広がったんだよ。
赤ちゃんを守る「抗体製剤」と、年齢や持病・妊娠の状況に応じて使う「ワクチン」があるんだ。

① 赤ちゃんへの抗体製剤(注射)
・パリビズマブ(シナジス®):早産児・心臓や肺に病気のある赤ちゃんなど、重症化リスクの高いお子さんに、流行期に毎月注射します
・ニルセビマブ(ベイフォータス®):2024年に承認された長く効くタイプの抗体製剤で、1回の注射で流行シーズンをカバーします。対象や接種先は、かかりつけの小児科・産科にご相談ください

② 成人・妊婦さんへのワクチン
・アレックスビー®は60歳以上の方に加え、18歳以上でRSウイルス感染症が重症化するリスクが高い方も対象です。持病や体調に応じて、接種について医師と相談します。
・妊婦さん:2026年度から、RSウイルスワクチン(アブリスボ®)が定期接種になりました。対象は接種時に妊娠28週0日〜36週6日の方です。接種先や費用は、お住まいの自治体やかかりつけの産科にご確認ください。

なかい先生

RSウイルスは特効薬がないからこそ、予防を考える価値が大きいんだ。
ワクチンや抗体製剤の対象になるか、費用はどうかなど、気になる方はお問い合わせくださいね。

よくある質問(Q&A)

はーちゃん

ほかにも、お家の人からよく聞かれることってある?

なかい先生

あるよ。まとめて答えるね。

保育園はいつから行けますか?

RSウイルス感染症には「何日休む」という決まった日数はありません。
熱が下がり、咳やゼーゼーが落ち着いて、ふだんどおり食事や活動ができるようになれば登園できます(医師が判断します)。
園によっては登園許可証が必要な場合があるので、園に確認してください。

大人もRSウイルスにかかりますか?

かかります。多くは軽い鼻風邪ですみますが、高齢の方や持病のある方は気管支炎・肺炎になることがあります。
また、大人が軽い症状のまま赤ちゃんにうつしてしまうことが多いので、赤ちゃんのいるご家庭では大人の手洗い・マスクも大切です。

咳が2〜3週間続いています。まだRSウイルスですか?

RSウイルスのあとは、気道が敏感になって咳が長引くことがあります。
ただし、ゼーゼーが続く・夜間や明け方に咳き込む・熱がぶり返すときは、ぜんそくの始まりや中耳炎・副鼻腔炎の合併も考えられるので、再度受診してください。

ヒトメタニューモウイルスとはどう違いますか?

症状はとてもよく似ていて、どちらも乳幼児でゼーゼーや肺炎を起こすことがあります。
ヒトメタニューモウイルスは春(3〜6月)に多く、1〜4歳に多いのが特徴です。どちらも迅速検査で区別できます。

抗菌薬(抗生物質)は必要ですか?

RSウイルスはウイルスなので、抗菌薬は効きません。
ただし、中耳炎や細菌性の肺炎を合併したときには必要になります。「なぜ抗菌薬が必要なのか」を説明しますので、気になることは診察時にお尋ねください。

まとめ

なかい先生

RSウイルスは、ほとんどの子がかかる“ありふれた風邪のウイルス”。
でも赤ちゃんでは重くなることがあるから、「ゼーゼー」「胸やお腹がへこむ」「飲めない」「顔色が悪い」のサインを覚えておいてね。
迷ったら、早めに相談してくれれば大丈夫だよ。

・RSウイルスは2歳までにほぼ全員がかかり、何度もかかる。近年は夏〜秋の流行も
・はじめはふつうの風邪と同じ。数日後にゼーゼー・呼吸困難が出たら細気管支炎・肺炎のサイン
・生後6か月未満・早産・心臓や肺の病気があるお子さんは重症化に注意
・特効薬はなく対症療法。鼻吸引・水分・加湿、重いときは入院
・迅速検査で診断でき、見通しが立つと安心。急性中耳炎の合併にも注意
・予防:赤ちゃんには抗体製剤、60歳以上・妊婦さんにはワクチンという選択肢

京都市中京区・御所南 丸太町駅でお子さんの風邪・RSウイルスのご相談は

なかい耳鼻咽喉科(京都市中京区・御所南/地下鉄烏丸線「丸太町駅」近く)では、お子さんの鼻・のど・耳を直接確認し、必要に応じて迅速検査を行って、RSウイルスをはじめとする感染症の診断・治療を行っています。
鼻水の吸引など、赤ちゃんが楽になる処置も行っていますので、お気軽にご相談ください。



電話:075-241-3387

監修:なかい耳鼻咽喉科 院長 中井 茂(なかい しげる)
医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医/日本気管食道科学会 専門医/補聴器適合判定医師

参考文献:
・厚生労働省「RSウイルス感染症Q&A」
・国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)RSウイルス感染症の情報
・日本小児科学会「予防接種・感染症」の情報

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