中耳炎のお話
中耳炎とは
この季節は寒さが増すとともに中耳炎の子供さんが急に増える時期でもあります。
多くの場合、中耳炎は風邪の症状が落ち着いて数日してお母さんがホッとされた頃に起こります。
やっと熱が下がって一安心・・・と思った頃が発症のタイミングなのです。
ところで、中耳炎の原因は何だかご存じですか?
みなさんは細菌やウイルスが耳の穴から奥へ入って来て炎症を起こす事だと思っておられませんか?
実は耳の穴からではなく、「鼻」→「耳と鼻をつなぐ耳管」→「鼓膜の内側の小さな部屋である鼓室」・・・と入りこんで炎症を起こすことが原因なのです。
強い炎症のために耳の激痛を急に生じたり、時には高熱を引き起こすこともあります。
皆さんお話しすると驚かれますが、鼓膜は眼の角膜と同じくらい痛みに敏感なのですよ。
「眼の角膜と同じくらい」と聞けば、もう想像するだけで痛いですよね・・・。
赤ちゃんなら泣き続けるのも当然、というわけです。
小さな子供さんは耳が痛いことを伝えることができません。
「機嫌が悪いだけ・・・」と異変に気が付くのが遅くなったり、原因不明の高熱として対処されたために治療が遅れ、鼓膜を切開して膿を出さなくてはいけなくなったり、重症化すると入院が必要になったりすることさえあります。
中耳炎の治療
中耳炎の治療もやはり「早期発見・早期治療」が大切で、早期に適切な治療が行われると約一週間程で完治することが多いです。
耳鼻咽喉科では、重症化しないように観察しつつ、鼻水を取って清潔にしたりお薬を処方したりします。
当院ではなるべく個人の免疫力や体力で改善するように見守る方針ですが、体質や菌の種類によっては早めの抗菌薬が必要な場合もあります。
そして治りが悪い時は鼻水や耳の粘液を綿棒で採取し細菌検査をして、その結果に応じた抗菌剤の選択によって対応を行います。
しかし、そのように対応しても中には長引いたり繰り返したりすることがあります。
鼓膜切開・鼓膜チューブ治療
当院では、鼓膜切開や鼓膜チューブ治療を外来で行うことができる体制も用意していますが、無理にすすめることはありません。
状況をみてご提案することがあっても、保護者やご家族が納得して希望される場合のみ治療へと進みます。
「中耳炎になって受診したら必ず鼓膜を切られるのでは」とご心配される方もおられますが決してそのようなことはないのでご安心ください。
治療の基本は鼓膜の炎症の程度(充血の強さや膿の貯留)、年齢、熱発の有無から判断される、重症度に応じた最適な抗菌剤の処方となります。
お子さんが風邪から回復した後に、「何だかグズグズといつまでも機嫌が悪いな・・」「なぜか微熱が続くわ・・」という時には中耳炎の心配があるかもしれません。
そんな時はどうか今日のお話を思い出して、早めに耳鼻咽喉科に足を運んでみて下さいね。