スギ花粉症治療薬「ゾレア」

「耳鼻咽喉科で処方される花粉症のお薬を使っても充分に症状が治まらない」
「考えられる治療を行っても春は毎年苦しい時間を過ごしている」・・・という方は多いのではないでしょうか。
そんな重症花粉症患者さんにとって新たな希望となる治療薬が「ゾレア 」です。

ゾレアによる治療は花粉症患者さんにどんな効果をもたらすの?
そしてゾレアの治療を受けたい時にはどうすればいい?



今回はそんな疑問にお答えします!
花粉症のメカニズム



まずは花粉症のメカニズムを説明しましょう!
空気中に漂っているスギ花粉が目や鼻、のどの粘膜に付着すると、身体が花粉に含まれるタンパク質をアレルゲン(アレルギーの原因物質)として認識します。
重篤な症状を引き起こすウイルスなどとは違い、本来ならさほど悪影響を及ぼさないはずのスギ花粉を・・・



スギ花粉→異物→敵!
と認識し記憶します。
そしてその異物から身体を守ろうと、スギ花粉に触れるたびに免疫防御システムが盛んに働くのです。
それによって「IgE」という抗体をどんどん作り出し、その「IgE」が花粉と反応することによって、アレルギーを引き起こす化学物質である「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」が大量に放出されてしまいます。
これらの化学物質が身体を刺激し、不快な花粉症症状を引き起こします。
この「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」をブロックするのがこれまで通常に使われてきた薬の数々です。



すでに放出されてしまった化学物質の働きを抑えようというのがこれらの薬です。
ゾレアとは
一方「ゾレア」は、それらのお薬とはコンセプトが違います。
つらい症状の原因となる「ヒスタミン」や「ロイコトリエン」が放出される原因となる「IgE抗体」そのものの働きを阻止することによって、それらの化学物質がそもそも放出されないようにするという治療薬なのです。
「ゾレア®」は以前から気管支ぜんそくや慢性じんましんの治療に使われてきた分子標的薬ですが、2019年12月に花粉症に対して適応が拡大されました。
従来の抗ヒスタミン剤等による治療では効果が得られず毎年花粉症シーズンにお困りだった患者さんには、このゾレアによる注射治療で症状をコントロールし生活の質を向上させることが期待できます。
個人差はありますが、ゾレア®で治療した多くの患者さんは「花粉が飛散していない季節と同じ様な生活ができるようになった」と言われます。
これまでも「シーズン1回の筋肉注射で花粉症が治る」と言われてきた注射治療(ケナコルトA)がありました。
この成分は長時間持続型のステロイドで、直接体内に注射するため副作用が心配されてきました。
今回ご紹介する「ゾレア」はこれとは全くの別物です。
当院では花粉症に対するステロイド注射治療は一切行なっておりません。
どんな人が治療できるの?値段は?
ゾレア®をおすすめする方
- 通常のお薬を使用しても効果が不十分で症状が治まらず、常につらい症状に悩まされている。
- 眠気が強く現れてこれ以上強いお薬に変更できない。
- 今シーズンは受験や結婚式などのイベントがあり、どうしても良いコンディションを保ちたい。
保険適応条件
- 12歳以上で体重が20〜150kgの範囲にある。
- 血中の総IgE値が30〜1,500IU/mlの範囲にある。
- スギ花粉症のアレルギー抗原に対しての陽性反応がクラス3以上である。
- 今シーズン抗ヒスタミン薬を1週間以上使用しても効果が不十分で重症、最重症と診断された。
治療法
- 投与量と投与間隔は、体重と血中のIgE量によって決まります。
- 抗ヒスタミン薬と併用し、通常は2週間または4週間ごとに注射を行います。
(当院では1シーズンに1回の注射の方が多いようです。) - 原則として12週までの治療です。
- 主な副作用は「注射箇所が赤くなる、腫れる」等ですが、他のどの薬剤とも同じように稀にアナフィラキシー等が起こる可能性があるので注意が必要です。
平均的な費用
1回の費用(薬剤分のみ)は
・150mgの方で6,549円
・300mgの方で12,027円
となります。(いずれも3割負担の場合)
その他に受診や検査にかかる費用や内服薬の費用がかかります。
京都市の「子ども医療費受給者証」をお持ちの場合、小学生までは200円/月、中学生は1,500円/月になります。


※ゾレアを含む治療で高額療養費制度が適用されるかどうか検討される際は、健康保険、または国民健康保険加入先にお問い合わせされることをおすすめします。
どのくらいで効果が出るの?
投与数日後~2週間程度で効果が出始め、1か月程度持続するといわれています。
実際の診療現場での肌感覚で言えば、注射して1〜2日で効果が出始めた、との声を多く聞きます。



とてもつらい花粉症・・・
すぐに効果が感じられるのは魅力だね
ゾレアの治療スケジュール
初めて受診したその日にゾレアを使った治療ができるわけではありませんので、まずは事前の受診が必要です。
そしてゾレアによる治療に適応があるか判断するためには、注射器を使った通常の血液検査が必須となります。
ゾレアは院内に常にストックしてあるわけではありませんので、必ず接種日のご相談と予約が必要となります。
当院で1年前以内にゾレアを注射した方は、採血を行わずに治療できる場合があります。
詳しくは受診時にご相談ください。


ゾレアはシーズン限りの効果。 ではその後は・・・
ゾレアは重症のスギ花粉症に悩む患者様にとってとても効果的な治療です。
当院でも多くの患者様が治療され、その多くが次のシーズンにもリピートされます。
ただ、残念ながらその効果は主に治療を受けているシーズンに限定されます。
シーズン中はゾレアで症状を抑えつつ、
中長期的には、鼻粘膜における症状を和らげる「鼻レーザー治療」、根本的に体質を変える治療「舌下免疫療法」などを組み合わせた対策を考慮されることもおすすめします。
当院では「舌下免疫療法」を始めて軌道に乗った患者様についてはオンライン診療もおこなっています。



オンラインだと毎月、舌下薬の処方のためだけに医院へ出向く、という手間が省けるのがいいね。
舌下免疫療法でオンライン診療を利用されている患者さんは「舌下のお薬処方希望のみの受診はオンラインで、その他の症状もあるため状態を確認してもらいたい時には対面の受診を」とうまく使い分けておられるよ。



なるほど!
ゾレアをうまく使いながらトータルで治療を考えていくんだね!
花粉症に悩まされる人たちの間で話題の「ゾレア」。
気になる人はぜひ先生に相談してみてね!