先生、風邪は治ったはずなのに、咳だけがもう3週間も続いてるんだ。夜になるとコンコンコン…って止まらなくて、吐いちゃうこともあるの。
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それは“ただの風邪のなごり”じゃないかもしれないね。
発作みたいに続く咳・夜に悪化・咳き込んで吐くは、『百日咳(ひゃくにちぜき)』の特徴なんだ。
最近は大人や学童の患者さんも増えているから、くわしく話すね。
百日咳は、百日咳菌という細菌による感染症で、名前のとおり激しい咳が数週間〜数か月続くのが特徴です。
赤ちゃんがかかると命にかかわることもあり、近年は大人や学童の流行も問題になっています。
この記事では、京都市中京区・御所南のなかい耳鼻咽喉科が、百日咳の症状の経過、検査と治療、登園・登校の目安、ワクチンによる予防について解説します。
百日咳とは?原因と感染経路
百日咳って、どうしてそんなに咳が続くの?



百日咳菌が気道の粘膜にくっついて“毒素”を出し、気道に強い炎症を起こすからなんだ。
菌がいなくなったあとも、傷んだ気道が回復するまで咳が続いてしまうんだよ。
百日咳の基本
✔ 原因:百日咳菌(Bordetella pertussis)という細菌
✔ 感染経路:飛沫感染(咳・くしゃみ)と接触感染。感染力がとても強く、家庭・保育園・学校で広がります
✔ 潜伏期間:7〜10日(5日〜3週間)
✔ かかりやすい人:ワクチン未接種・接種が不完全な乳幼児、ワクチンの効果が薄れた学童〜大人



2025年には全国的に大きな流行があって、マクロライド系の抗菌薬が効きにくい“耐性菌”も増えているんだ。
「子どもの病気」と思われがちだけど、ワクチンの効果が薄れた大人や中高生の患者さんも多いんだよ。
百日咳の症状|3つの時期をたどります



はじめから激しい咳が出るの?



いや、はじめの1〜2週間はふつうの風邪にそっくりなんだ。
ところが、この時期がいちばん人にうつしやすい。
そのあと、だんだん“百日咳らしい咳”に変わっていくよ。
| 時期 | 期間の目安 | 症状 |
| ① カタル期 | 1〜2週間 | 鼻水・くしゃみ・軽い咳。熱はないか微熱。 風邪と区別がつかないが、感染力は最も強い |
| ② 痙咳期(けいがいき) | 2〜6週間 | 「コンコンコン…」と発作的に続く咳。 息を吸うとき「ヒュー」と笛のような音(笛声)。咳き込んで吐く・顔が赤くなる・夜間に悪化 |
| ③ 回復期 | 2〜3週間〜 | 咳の回数が徐々に減る。 別の風邪をひくとぶり返すことも |
大人や年長のお子さんでは「ヒュー」という音が出ず、長引く咳だけのことも多く、気づかれないまま周囲にうつしてしまうことがあります。
「風邪のあと、咳だけが2〜3週間以上続く」ときは、百日咳の可能性を考える必要があります。
【重要】赤ちゃんは命にかかわることも



うちには赤ちゃんの弟がいるんだ…。
ぼくの咳がうつったらどうしよう。
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そこがいちばん心配なところなんだ。
生後6か月くらいまでの赤ちゃんは、はっきりした咳が出ないまま、急に息が止まる(無呼吸)ことがある。
赤ちゃんの様子がおかしいときは、迷わずすぐに受診してね。
【119番へ】
✔ 呼吸が止まる、唇が青紫色になる
✔ けいれん、呼びかけへの反応が乏しい
✔ 強い呼吸困難がある
【夜間でも早急に救急外来へ】
✔ 咳き込んで何度も吐く、ミルクが飲めない
✔ 呼吸が速い・苦しそう、胸やお腹がへこむ
※ 赤ちゃんは肺炎や脳症を起こして重症化することがあり、入院管理が必要になります。
ワクチン接種前の赤ちゃんのいるご家庭で、家族に長引く咳の人がいるときはご相談ください
百日咳の検査



百日咳かどうかは、すぐにわかるの?
実は、百日咳は診断がむずかしい病気なんだ。
中心になるのは遺伝子検査や抗体検査で、結果が出るまで数日かかる。
しかも、発症から時間がたつと菌が検出されにくくなるんだよ。
百日咳の主な検査
✔ 遺伝子検査(LAMP法・PCR):鼻の奥を綿棒でぬぐって、百日咳菌の遺伝子を調べます。
発症から3〜4週間以内が検出しやすい時期です。結果まで数日かかります
✔ 血液検査(抗体検査):発症から時間がたっている場合に、百日咳菌に対する抗体の量を調べます
✔ 胸部X線:肺炎の合併が疑われるときに行います
迅速抗原検査もありますが、精度に限界があるため、検査を行うかどうかや、結果の解釈には慎重な判断が必要です。
当院では、症状や経過に応じて必要な検査を選び、診察所見と合わせて判断します。



検査で陽性が出にくいこともあるから、咳の経過・周囲の流行・ワクチンの接種歴をあわせて、総合的に判断するんだ。
疑いが強いときは、結果を待たずに治療を始めることもあるよ。
百日咳の治療|早く始めるほど効果的
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細菌なら、抗菌薬が効くんだよね?
そう、マクロライド系の抗菌薬で治療するよ。
ただしポイントは“早さ”。
風邪に見える早い時期(カタル期)に始めるほど症状を軽くでき、周りへの感染も防げる。
激しい咳が出てからでは、咳そのものにはあまり効かなくて、「人にうつさないため」の治療になるんだ。
治療のポイント
✔ 抗菌薬(マクロライド系:クラリスロマイシン・アジスロマイシンなど)を処方された日数きちんと飲みきる
✔ 耐性菌で効果が乏しい場合は、別の系統の抗菌薬に変更することがあります
✔ 一般的な咳止めは効きにくく、咳がおさまるまでには時間がかかります(気道が回復するのを待つ必要があります)
✔ 部屋の加湿・こまめな水分補給で気道の乾燥を防ぐ
✔ 乳児は無呼吸発作に備え、入院して酸素吸入などの管理を行うことがあります



「咳が少し楽になったから」と抗菌薬を途中でやめるのはNG。
菌が残って、周りにうつしてしまうことがあるからね。
登園・登校の目安(出席停止)
百日咳は学校保健安全法の「第二種」に定められた感染症です。
出席停止の期間は、「特有の咳が消失するまで、または5日間の適正な抗菌薬による治療が終了するまで」です。
登園・登校の再開には、医師の意見書(登園許可証)が必要な園・学校が多いので、ご確認ください。
百日咳の予防|ワクチンがいちばんの対策



赤ちゃんのときに予防接種をしたら、もう大丈夫?
それが、百日咳の免疫は数年で弱まってしまうんだ。
だから、小学校に入る前や、11〜12歳、大人でも追加の接種がすすめられているんだよ。
① 赤ちゃんの定期接種:五種混合ワクチン(DPT-IPV-Hib)
百日咳・ジフテリア・破傷風・ポリオ・ヒブを一度に予防します。
・初回:生後2か月から、3〜8週間の間隔で3回
・追加:初回3回の終了後6か月以上あけて(標準的には6〜18か月あけて)1回
※生後2か月になったら、できるだけ早く始めることが大切です(赤ちゃんの重症化を防ぐため)
② 追加接種(任意接種・自己負担)
・就学前(5〜6歳):日本小児科学会は、三種混合(DPT)ワクチンの追加接種をすすめています
・11〜12歳:定期接種の二種混合(DT)のかわりに、百日咳を含む三種混合(DPT)での接種がすすめられています
・大人:赤ちゃんの周りにいるご家族(妊婦さん・ご両親・祖父母)の接種が、赤ちゃんを守ることにつながります。
接種歴や時期も含めて、医師にご相談ください
追加接種をご希望の方、「自分も受けたほうがいい?」と迷っている方は、お気軽にご相談くださいね。
日常の感染予防
✔ 手洗い・うがい
✔ 咳エチケット(マスク・ティッシュで口をおおう)
✔ 長引く咳がある人は、赤ちゃんとの接触を避ける
✔ 咳が続く、夜眠れないほど咳き込む、咳のあとに吐くときはご相談ください
✔ 周りに百日咳の方がいる場合や、赤ちゃんと接する場合は、咳が長引くのを待たずに相談しましょう
よくある質問(Q&A)



ほかにも、よく聞かれることってある?



あるよ。まとめて答えるね。
- 大人も百日咳になりますか?
-
なります。
ワクチンの免疫が薄れた大人は、「ヒュー」という音のない長引く咳だけのことが多く、気づかないうちに赤ちゃんや周囲にうつしてしまうことがあります。
3週間以上続く咳は、一度ご相談ください。 - 咳ぜんそく・マイコプラズマとはどう違いますか?
-
どれも「長引く咳」が特徴で、見分けがむずかしい病気です。
百日咳は発作的に連続する咳・咳き込んで吐く・笛のような吸気音が特徴、マイコプラズマは熱のあとの乾いた咳、咳ぜんそくは夜間〜明け方の咳でゼーゼーはなく熱もないのが典型です。
当院では、経過と検査で原因を見きわめます。 - 抗菌薬を飲み終わったのに咳が続きます。治っていないのですか?
-
菌がいなくなったあとも、傷んだ気道が回復するまで咳が続くことがあります。
一方で、薬が効きにくい菌や、ほかの病気が原因のこともあります。
改善が乏しい、悪化する、呼吸が苦しいときは、再度ご相談ください。 - 三種混合ワクチンの追加接種は、当院で受けられますか?
-
就学前・11〜12歳・大人の三種混合ワクチン(任意接種・自己負担)については、当院にお問い合わせください。費用や予約方法をご案内します。
まとめ
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百日咳は、はじめは風邪、そのあと“発作のような咳”が何週間も続く病気。
早く治療するほど軽くすみ、周りにもうつしにくくなる。
そして赤ちゃんを守るいちばんの方法はワクチンだよ。
「いつもの咳と違う」「咳が3週間以上続く」と感じたら、早めに相談してね。
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いつもと違う咳が始まったら、早めに相談だね!
・百日咳菌による感染症。感染力が強く、近年は大人・学童の流行と耐性菌が問題に
・経過はカタル期(風邪そっくり・最も感染力が強い)→痙咳期(発作的な咳・笛声・嘔吐)→回復期
・生後6か月未満の赤ちゃんは無呼吸・肺炎で重症化。様子がおかしければすぐ受診
・検査は遺伝子検査(LAMP/PCR)・抗体検査。早期のマクロライド系抗菌薬が有効、飲みきりが大切
・出席停止=特有の咳が消えるまで、または抗菌薬治療5日間が終わるまで(第二種)
・予防は五種混合ワクチン(2か月から)と、就学前・11〜12歳・大人の追加接種
なかい耳鼻咽喉科(京都市中京区・御所南/地下鉄烏丸線「丸太町駅」近く)では、お子さんから大人の方まで、長引く咳の原因(百日咳・マイコプラズマ・咳ぜんそくなど)を見きわめ、治療を行っています。
百日咳の追加ワクチン(三種混合)のご相談も承ります。
電話:075-241-3387
監修:なかい耳鼻咽喉科 院長 中井 茂(なかい しげる)
医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医/日本気管食道科学会 専門医/補聴器適合判定医師
参考文献:
・国立健康危機管理研究機構(旧 国立感染症研究所)百日咳の情報
・日本小児科学会「予防接種・感染症」の情報、日本小児科学会が推奨する予防接種スケジュール
・厚生労働省「学校において予防すべき感染症」
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