ハント症候群・不全型ハント症候群とは?耳の痛み・顔面神経麻痺の前ぶれと早期治療の大切さを医師が解説|京都市中京区・御所南・丸太町駅 なかい耳鼻咽喉科

先生、おじいちゃんが「耳の周りがピリピリ痛い」って言ってるんだ。
見ても何もないし、熱もないのに…。
何かの病気?
.png)
.png)
.png)
それは、耳鼻科医としては聞き逃したくない訴えだね。
「耳の中や周りが痛い」「頭の皮膚がピリピリする」「湿疹はないけど耳に違和感」…これは「不全型(ふぜんがた)ハント症候群」の始まりかもしれないんだ。
この病気は早く気づいて治療を始めることがとても大切だから、今日はくわしく話すね。
ハント症候群(ラムゼイ・ハント症候群)は、耳の帯状疱疹(たいじょうほうしん)に顔面神経麻痺・難聴・めまいなどを伴う病気です。
症状が「まだ全部そろっていない」段階が「不全型ハント症候群」で、見逃されやすい一方、早期の治療が結果を大きく左右します。
この記事では、京都市中京区・御所南のなかい耳鼻咽喉科が、ハント症候群の原因と症状、不全型の特徴、早めの治療が大切な理由、受診の目安を解説します。
ハント症候群とは?
ハント症候群って、どうして起こるの?



子どものころにかかった水ぼうそうのウイルス(水痘・帯状疱疹ウイルス)が、体の神経の中にずっと隠れていて、体力が落ちたときに耳の神経で再び活動することで起こるんだ。
体のほかの場所で起こる「帯状疱疹」と同じ仕組みで、それが耳に起きたものだよ。
多くは顔の片側に起こるんだ。
ハント症候群の主な症状(片側に起こります)
✔ 耳の中や周りに、痛み・かゆみをともなう強い湿疹や水ぶくれができる
✔ 顔面神経麻痺:顔の片側が動かしにくい、目が閉じにくい、口から水がこぼれる
✔ 難聴・耳鳴り・めまいをともなうことがある
✔ まれに、声を出す・飲み込む神経に障害が及ぶことも
※ 水ぼうそうにかかった人はみな、このウイルスを持っています。
人から新たにうつる病気ではありません(ただし、水ぶくれの中のウイルスは、水ぼうそうにかかったことのない人にうつる可能性があります)



症状がそろえば診断はつくんだけど、生活への影響が大きく、治療にも長い時間がかかる病気なんだ。
だからこそ、早く気づいて治療を始めることがとても大切なんだよ。
「ベル麻痺」との違い|顔面神経麻痺の2大原因
顔面神経麻痺の原因で多いのは「ベル麻痺」と「ハント症候群」です。
どちらもウイルスが関係すると考えられていますが、ハント症候群はベル麻痺より麻痺が重く、治りにくい傾向があります。
そのため、顔面神経麻痺を診るときは「ハント症候群ではないか」を常に意識し、耳の湿疹や痛み・難聴・めまいの有無を確認します。
| ベル麻痺 | ハント症候群 | |
| 原因 | 単純ヘルペスウイルスの再活性化など | 水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化 |
| 耳の症状 | ふつうはない | 耳の痛み・湿疹・水ぶくれ、難聴・耳鳴り・めまい |
| 麻痺の程度・回復 | 比較的軽く、多くは回復 | 重くなりやすく、後遺症が残りやすい |
| 治療の要点 | ステロイド(+抗ウイルス薬) | 早期の抗ウイルス薬+ステロイド |
不全型ハント症候群とは?



「不全型」って、どういう意味?



さっきの症状が「まだ全部そろっていない」段階のことだよ。
「耳の周りや中が痛い」「頭の皮膚がピリピリする」「湿疹はないけど耳に違和感がある」といった訴えで来られる方に、よく出会うんだ。
発症して間もない時期は、はっきりした所見が出にくくて、見逃されやすいのが特徴なんだよ。
不全型ハント症候群でよくある訴え
✔ 片側の耳の中・耳の周りの痛み(外耳炎や中耳炎のようだが、診察しても炎症が見当たらない)
✔ 頭の皮膚・顔の片側のピリピリ・チクチクする感じ
✔ 耳の違和感、軽い耳鳴り・耳のこもり
✔ 味がわかりにくい、涙や唾液が出にくい
✔ 数日〜1週間ほどたってから、湿疹や顔のゆがみが出てくる
【重要】疑わしいときは「早めの治療」が大切



ハント症候群かどうかは、検査すればすぐわかるの?



それがむずかしいところなんだ。
血液検査は結果が出るまで1週間ほどかかるし、病気にかかっていても数値(抗体価)が上がらないことも少なくない。
さらに、発症から日がたつほど治りにくくなる。
だから、検査の結果を待っている時間がもったいないんだよ。
疑わしいときは、検査の結果を待たず、先んじて抗ウイルス薬の内服を始めるのが賢明です。
お薬でしっかり効果が出たら、その結果をもって「初期の不全型ハント症候群だった」と判断し、追加の治療で治していきます。
抗ウイルス薬は、ウイルスが増えている発症早期(できれば3日以内)に始めるほど効果が高いお薬です。
治療の内容
✔ 抗ウイルス薬(バラシクロビルなど):ウイルスの増殖を抑えます。発症早期に開始することが最も大切です
✔ ステロイド薬:神経の腫れ・炎症を抑えます。顔面神経麻痺を伴う場合は、早期にしっかり使います
✔ 痛みの治療:神経の痛みに対する鎮痛薬
✔ 目の保護:目が閉じにくい場合は、乾燥や傷を防ぐための点眼・眼軟膏・保護
✔ 検査:聴力検査、めまいの検査、顔面神経の麻痺の程度の評価(必要に応じて血液検査)
✔ 麻痺が強い場合・難聴やめまいが強い場合は、連携する病院での入院治療(点滴)をご紹介することがあります
顔面神経麻痺の回復には数週間〜数か月かかることがある。あせらず、治療とリハビリを続けていこうね。
治療の途中で聴力検査やめまいの検査で状態を確認しながら進めるよ。
こんな症状は早めに受診を
✔ 片側の耳の中・耳の周りの痛みが続く(外から見て異常がなくても)
✔ 顔や頭の皮膚の片側がピリピリ・チクチクする
✔ 耳の中や周り、耳たぶに赤い湿疹・水ぶくれができた
✔ 顔の片側が動かしにくい、目が閉じない、口から水がこぼれる、笑うと顔がゆがむ
✔ 急に聞こえにくい・耳鳴り・めまいが出た
✔ 味がわかりにくい、涙が出にくい
※ 発症から3日以内の治療開始が理想。「様子を見よう」と待たないでください
よくある質問(Q&A)



ほかにも、よく聞かれることってある?



あるよ。まとめて答えるね。
- ハント症候群は人にうつりますか?
-
ハント症候群そのものが人にうつることはありません。
ただし、水ぶくれの中にはウイルスがいるため、水ぼうそうにかかったことがない人(赤ちゃんなど)や妊婦さんとの接触には注意し、水ぶくれにさわったら手を洗ってください。 - どんな人がなりやすいですか?
-
50歳以上の方、疲れ・睡眠不足・ストレスで体力が落ちているとき、病気や薬で免疫が下がっているときに起こりやすくなります。
若い方でも、過労のあとなどに発症することがあります。 - 帯状疱疹ワクチンで予防できますか?
-
50歳以上の方が対象の帯状疱疹ワクチンは、帯状疱疹とその合併症を減らす効果があり、ハント症候群の予防にもつながると期待されています。
2025年度から65歳の方などを対象に定期接種が始まりました。
当院でも接種を行っていますので、ご相談ください。 - 顔面神経麻痺は治りますか?どのくらいかかりますか?
-
早期に治療を始めるほど回復しやすくなります。
回復には数週間〜数か月かかることがあり、麻痺が重い場合は後遺症(顔のゆがみ・けいれん)が残ることもあります。
だからこそ、「耳の痛み」「ピリピリ」の段階で治療を始めることが大切です。 - 外耳炎と間違えやすいですか?
-
はい。初期は「耳が痛い」だけのため、外耳炎や中耳炎と思われがちです。
診察で耳に炎症が見当たらないのに痛みが強い、皮膚のピリピリを伴う、といった場合はハント症候群を疑います。気になる症状は、遠慮なく伝えてください。
まとめ
.png)
.png)
.png)
ハント症候群は、水ぼうそうのウイルスが耳の神経で再び活動して起こる病気。
湿疹や顔の麻痺がそろう前の「耳の痛み」「顔や頭のピリピリ」の段階(不全型)で気づいて治療を始めることが、何よりの近道なんだ。
気になる症状は、早めに相談してね。
.png)
.png)
.png)
おじいちゃんに、今日すぐ診てもらうように言うね!
・原因は水痘・帯状疱疹ウイルスの再活性化(耳の帯状疱疹)。人から新たにうつる病気ではない
・症状は片側の耳の湿疹・水ぶくれ、顔面神経麻痺、難聴・耳鳴り・めまい。ベル麻痺より重く治りにくい
・不全型=症状がそろう前。耳の痛み・頭皮のピリピリ・耳の違和感だけで、見逃されやすい
・血液検査は1週間かかり、抗体価が上がらないことも。日がたつほど治りにくい
・だから疑わしければ検査結果を待たず抗ウイルス薬を開始(できれば発症3日以内)+ステロイド
・50歳以上は帯状疱疹ワクチンで予防も
なかい耳鼻咽喉科(京都市中京区・御所南/地下鉄烏丸線「丸太町駅」近く)では、「耳の痛み」「顔や頭のピリピリ」といった初期のサインの段階からハント症候群を疑い、早期の抗ウイルス薬治療を行っています。聴力検査・めまいの検査も院内で行えます。
気になる症状があれば、様子を見ずにご相談ください。
電話:075-241-3387
監修:なかい耳鼻咽喉科 院長 中井 茂(なかい しげる)
医学博士/日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 専門医/日本気管食道科学会 専門医/補聴器適合判定医師
参考文献:
・日本顔面神経学会「顔面神経麻痺診療ガイドライン」
・日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会の一般向け情報(顔面神経麻痺・ハント症候群)
・厚生労働省「帯状疱疹ワクチン」の情報
あわせて読みたい|耳の痛み・難聴・めまい








